熊本の水の話

坪井川周辺ほか、熊本の水源を散歩します

熊本の水源を歩く

次々と干上がっていく水源地。その変遷を歩きます

坪井川ニュース

www.tku.co.jp

 

つい最近もこんなことがあった。

 

===ニュース内容===

3月31日に撮影した映像です。熊本市中央区、熊本城の目の前を流れる坪井川です。川幅の半分近くが濁っています。熊本市中心部の観光スポットでもあるこのエリアには似つかわしくない濁った水、その正体を追いました。(中略)

私たちは5日、熊本市上下水道局を訪ね、あの濁った水と悪臭の正体を確かめました。

熊本市上下水道局 計画調整課 神崎陽介さん】
「『合流区域』では雨水と汚水を一緒の管で運んでるものですから雨が大量に降ると管の容量をオーバーしてしまいます。その時に雨水の混じった汚水が川に放流された状況」

『合流区域』とは『合流式下水道』が整備された区域のこと。『合流式下水道』は家庭などから出る汚水とあまみず・雨水を1つの下水道管に集めて流す方式を言います。

昭和40年代まで全国的に都市圏で多く採用されていたもので今は汚水と雨水を別々の下水管で流す『分流式下水道』が主流になっています。

熊本市では、ここ花畑地区など全体のおよそ7%が『合流式下水道』です。先日、坪井川で見られた濁流はまさに『合流式下水道』による汚水、そしてその臭いだったのです。

ただ、川には常に汚水が流されているわけではありません。

【中部浄化センター】
尾谷「家庭の排水などはいったんここに来るんですね?」
センター職員「はい」

熊本市では合流式・分流式に関わらず、雨水や生活排水はここ中部浄化センターなど各地区に設置した設備できれいな水にしてから川に流しています。熊本市はこうした事業をおよそ98億円をかけて実施、2013年度に完了させています。

それでも設備の処理能力を超える大量の雨が降ると、先日の坪井川のように未処理のままの汚水や雨水がそのまま流れてしまうということです。

熊本市上下水道局 水再生課 堀 正直課長】
「晴れの日とか通常はきちんと処理して流しております。いかに流さないようにするかは今後も工夫を続けていきたいと思っています」

 

=====ニュースここまで=====

 

ちょっと待て。

2022年3月31日は確かに雨だったが、降水量は6mm程度、とても「大量に雨が降った」とは言えなかったし、前日の30日の天気は晴れのち曇り。降水量は0mm。

tenki.jp

 

ちなみに今週木曜日(2022年4月21日)も雨だったが、たいした雨ではなかった。降水量は12mm。

 

言っていることがだいぶおかしいのだが…。

なぜ誰も突っ込まないのだろう。

坪井川を流れる白い泡が消えた話

 熊本北部浄化センターの下水処理水に起因する白い泡が、坪井川をプカプカ漂いだして、すでに10年以上が経過した。ひょっとしたら20年以上かも…

 

が、それが突然消えた。

 

 高平のスバル自動車(3号線沿い)の裏あたりに、先週末あたりか、いつの間にかネット様のものが設置されており、そこに流れてくる泡が引っかかって下流に流れないようになっていたのだ。

 しかも今週水曜(20日)になると、ネットから上流側の泡も消えていた。

 少なくとも10年以上、坪井川を漂い続けていた泡が、水サミットが目前になったら、突然消滅したのだ。

 

普通驚くと思うのだが…

あまり話題にはなっていないな…

しかし、いったい何が起こったのだろう…

 

わからないことは知っていそうな人に聞いてみよう!

ということで、坪井川を管理している熊本北土木管理事務所に電話してみた。

 

私「坪井川を流れていた泡が消滅しているのですが…ご存じですか?」

 

担当者「ああ、高平橋のところの水路でしょう。あれは市の水保全課と調査に行ったのですが、結局、原因はわからなかったのです」

 

私「高平橋?」

 

担当者「そう、スバル自動車裏の」

 

…場所は合っているものの、なんだか微妙に話が食い違っているような…

 

私「ネットが張ってありますよね」

 

担当者「オレンジ色の、ですね。あれは水質汚濁防止フェンスです。坪井川底を掘削する工事をしているので、そのためです。」

 

私「高平橋付近で掘削しているような様子はありませんでしたが…」

 

担当者「事情で遅れていて、来週あたりからの予定です」

 

そう言われて、パッと脳裏に映った光景があった。

 

私「昨日、熊本北部浄化センター横を通りかかった時、坪井川で掘削工事をしていたのを見ました。工事は高平橋ではなくて北部浄化センターのあたりでやっているのではないのですか」

 

担当者「下流が高平橋のあたりで、上流はそのあたりかと思います」

 

続けて、なぜ掘削するのか問うと、川底に泥が溜まっているからそれを浚渫するのだという。

 

北部浄化センター………と泥。

 

思い出した新聞記事があった。

熊本北部浄化センター(熊本北部流域下水道)の汚泥を大津町に不法投棄した事件

 

 熊本北部浄化センターは下水道処理水を現在では1日10万トンほども坪井川に放出している。

その中には汚泥が混じっているのではないだろうか?

 それが長い間に(事件は30年近く前だ)川底に積もっているのでは?

 

 問題は、その汚泥(や処理水)に、問題のある物質が混じっているのではないかということだが…

 

 坪井川のモニタリングは、熊本北部浄化センターより上流か、あるいはすでに下流域に入った西区の上代橋でしかなされておらず、北部浄化センターの処理水や汚泥に対する監視はなされていない。(という話だ)

 

 しかし、このことについて問い詰めても、明快な答えが得られないことはわかっている。(すでに何度も尋ねたので)

 

 とりあえず、坪井川の泡の件に話を戻そう。

 担当者と会話を続けていくと、どうも「坪井川に泡が流れている!」という通報は度々あるらしい。

 担当者としては、急に言われると、どの件か混乱するのかもしれない。

 

 私が聞いているのは、新聞記事にもなったこの件です↓

www.nishinippon.co.jp

 

と、重ねて尋ねてみると、

泡が消滅していた件について担当者は「知らなかった」と言った。

 

 ちなみに、市の水保全課にも電話してみたのだが、こちらも「知らない」と言う。

坪井川に興味がない?」と問うと、

「そういうわけではない」と苦笑いしていたが…。

 

 ちなみに、坪井川の白い泡については、以前、山室に住む隈部氏が研究していて、「熊本北部浄化センターの処理水の放出が1日3万4000tを超えたあたりから発泡が始まった」と結論していた。

 

 ひょっとすると、今だけ坪井川に水量を足して、処理水の濃度を下げているのかもしれないと思うのだが…

 

秘密兵器!?

 水サミットを週末に控えた昨日、坪井川に新兵器がお目見えした。

 坪井川といえば、熊本北部浄化センターに起因する白い泡が、プカプカ浮いている光景がすでに日常となっていたのだが、、、、

 (当ブログのトップ画像も、以前、八景水谷公園脇の坪井川で、川面に浮かぶ泡と水面に映るシラサギを写真に撮ったもの)

 

なんと川に泡受けが!

 

坪井川に張られた泡受け(?)

 水サミットに来られるお客様に泡を見られちゃまずいのか…

 見栄えが悪いことは間違いない。

 でも、今まで放置しておいて、水サミットの参加者に見られたら困るから対策を取る、とかだったら、

 熊本市民を馬鹿にしていませんかね…

 

 

ちなみに場所は、八景水谷公園脇から坪井川をずーーーっと下っていって、消防署の前を通り過ぎて、焼き肉彩炉を対岸に見て、住宅街に入ったあたり。

 

熊本市北区高平のスバル自動車が右手に、正面にトライアルが見える

 

4月20日になったらこんな感じになってました。

 

4月20日の泡受けの様子

 泡がグラデーションに。

 泡が単体で浮いていたときは白く見えても、元々が下水の処理水に起因するものなので、集めれば処理水と同じ色になるのだなあ。

 

 

熊本の地下水汚染2

平成3年(1991年)9月13日

 飛田水源地2号井戸、トリクロロエチレン汚染により取水停止。

 

 『熊本市水道事業年報』の「水道事業の沿革」に記されたこの一行。熊本の地下水汚染が初めて発覚し、公文書に記された貴重な記録だが、その後、水道事業年表に新たな汚染を記した一行が付け加えられることはなかった。

 

 その後、汚染が見つからなかったわけではない。むしろ逆で、年々汚染井戸は増えていく。

 

 有機塩素化合物による汚染地区の一覧を掲示する。上が平成12年(2000年)、下が平成17年のものだ。 

 

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有機塩素系化合物による汚染地区一覧(平成12年)

 

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有機塩素系化合物による汚染地域一覧(平成17年)

 平成12年と比べて、平成17年の方が増えている。

 トリクロロエチレン(TCE)は半導体工場、テトラクロロエチレン(PCE)はクリーニング業による汚染が主である。

 

 それぞれの毒性は下の表のとおりである。どちらも自然界に存在しない化学物質で、わずかな量で肝障害やガンを引き起こす恐れがある。

 

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TCEとPCEの毒性及び特性

 

 半導体工場については、有機塩素化合物による汚染のほか、最近では有機フッ素化合物(PFOA)による地下水汚染も懸念されている。

 

 熊本は九州のシリコンアイランドと呼ばれ、豊富な地下水を利用した半導体製造がおこなわれてきた。その陰で、やはりと言うべきか、地下水汚染もじわじわと進んできた。

 

 再来年には台湾の大手TSMCと国内大手ソニーが手を組んで、巨大な半導体工場が菊陽町にできるという。

 菊陽町で出た工業排水は、下水道を通って熊本北部浄化センターへ運ばれ、坪井川へ放出される。

 なぜ、坪井川まで持ってきて放出するのか。

 放っておくと“第二の水俣病”を引き起こしかねない気さえする。

 その予防ためには、坪井川のモニタリングが必要ではないだろうか。

 

 現在、坪井川のモニタリングは、北部浄化センターより上流にある堀川との合流地点、及び、かなり下流上代橋付近で行われている(化学物質の調査ではなくBOD、COD、SSといった従来の汚濁の調査だが)。

 熊本北部浄化センターが処理水を放出している箇所でのモニタリングが必要ではないだろうか。

熊本の地下水汚染1

 

「熊本の水は地下水だから美味しい!」

 

 これは真実だろうか。

 

 川から水を取って、それを濾過して水道水としている自治体に比べたら、それはそうかもしれないと思う。

 昔、水道水に発がん性物質トリハロメタン」が混じっていると話題になったが、これは川の水を濾過して残った有機物に、殺菌するために加えた塩素が反応して出来るものである。加える塩素の量が多いとトリハロメタンも増えるので、最低限の殺菌しか必要でない地下水は、こういった心配は少ないことになる。

 

 問題は「汚染」だ。地下には綺麗な水だけが流れているのかといえば、そうではない。

 熊本でも他の地域と同様に、昭和50年代から地下水汚染が増えてきた。

 

 私がこの事実に気が付いたのは、地下水に関する本を読んでいて、「熊本の植木町は日本三大地下水汚染地域の1つ」という一文を見つけたからだ。

 植木町と言えば、全国的に有名なスイカの名産地。スイカのほか、キュウリやピーマン、アスパラ、トマトなど、多くの農産物も栽培している。

 以前、坪井川の水源を探して遡った時、かつての水源があった周辺には、無数のビニールハウスが立ち並んでいた。

 あれがスイカのビニールハウスだ。

 

 植木町の地下水汚染は、主に硝酸性窒素によるもので、これは畑地への過剰な肥料、及び家畜排せつ物の不適切な処理が原因で起こる。

 

 昭和50年頃、坪井川源流に用水路が整備され、源流付近の水はたちまちに枯れた。用水路を整備したのは大規模な開発が予定されたため、つまりスイカ農業のためだろう。

 スイカの栽培には大量の水と農薬、化学肥料が必要だ。

 周辺には無数のビニールハウスが立ち並び、ホタルは飛ばなくなった。

 

 また、坪井川源流のあたりは、以前は飽託郡北部町であった。NHKの番組で紹介された、猛毒の“枯葉剤”が不正に埋められている場所でもある。

 

 坪井川源流付近に用水路が整備された頃、八景水谷水源の周辺でも洪水対策として坪井川の護岸工事がなされた。そして、護岸工事がなされたあと、2、3年のうちにホタルが激減したと記憶している。

 

 坪井川の、八景水谷よりわずか上流に、熊本北部浄化センターが作られたのは平成元年のことだ。

 浄化センターとは、つまり下水処理場

 この下水処理場は、平成12年ごろには1日9500tの下水を処理し、その処理水を坪井川に放出していた。

 この頃、坪井川を流れる水の見た目はとても綺麗になった。それまで坪井川に直接流れ込んでいた生活排水や農業排水が、この下水処理場を経由するようになったからであろう。(ちなみに、坪井川源流がある改寄町のあたりは、いまだに下水道が整備されておらず、生活排水を各家庭から用水路に放出している。生活排水を直接河川に流すことは平成13年から禁止されているので、おそらく各家庭に浄化槽を設置し、それを通しているのだろうとは思うが…)

 だが、熊本北部浄化センターの1日の下水処理量が3万400tを超える頃から、坪井川の川面に白い泡が大量に浮かびはじめた。

 現在では、下水処理水の坪井川への放出量は1日に10万tを超えている。

 

 驚くべきことに、熊本北部浄化センターは熊本市北部の下水を処理しているだけではなく、植木町合志市、そして菊陽町セミコンテクノパークの工業排水なども受け入れている。

 

 熊本県で出しているパンフレットによると、処理水は安全で無害だと言うが、下水の処理方法は旧態依然とした汚泥沈殿法で、とくに近年不安視されている化学物質などの除去を行うような工程は見当たらない。

 

 坪井川の川面に浮かぶ泡の正体は、沈殿池に含まれる微生物が出す糖類で、こちらは無害だが、処理水自体が無害だという保証はどこにもない。

 

 そして、坪井川の河口は有明海である。有明海の主要産業はアサリだが、アサリの漁獲高は1980年代半ばから激減していく。

 これら一連の経緯は相互に関連しているのではないだろうか。

 

 八景水谷愛護会の老人たちはもう何十年も、八景水谷のホタル復活のために活動してきた。しかし、ホタルの幼虫を八景水谷の池に何百匹放流しようとも、ほとんど飛ばない。

 東京の椿山荘で飛ぶホタルが、なぜ八景水谷で飛ばないのか、、、一度冷静に検証してみたほうがよいと思う。

 坪井川の水に問題があるのではないかと言うと、「坪井川にはコイやフナもおるじゃなかか」と反論される。生き物が住める川だと言いたいのだろう。

 しかし、コイやフナしか住めない川はC級河川で、決して綺麗とは言えない。

 そして、川の水は水蒸気となって大気の中に混じり、人は呼吸によってそれを体内に取り込む。

 川底から地下へ染み込む。

 

 なぜ、水源地である八景水谷の上流に下水処理場を作り、工業団地の排水を含む処理水を放出するのか、理解に苦しむ。

坪井川

 坪井川

 八景水谷公園のすぐ脇を流れるこの川は、50年ほど前は湧水が多く、良質の河川だったにも関わらず、その後、生活排水を河川に流していた時代や、ごみの不法投棄が後を絶たなかった時代などがあり、水質は悪くなったり、規制をかけては良くなったりを繰り返してきた。

 

 そして現在の坪井川は、下水処理場の処理水の放出路だ。

これがどういう意味か。

 坪井川を流れている水に、河川の水は半分くらいしか含まれていない。残りの半分、あるいはそれ以上が、熊本北部浄化センターで下水を処理したあとの「処理水」が流れているのである。

 

 熊本北部浄化センターは、熊本市の北部の下水、合志市の下水、そして菊陽町の堀川沿いとセミコンテクノパークの排水の処理をしている施設である。

 浄化センターは熊本市の東部、西部、南部にもあるが、そちらが市の管轄であるのに対して、熊本北部浄化センターは県の管轄だ。

 そのため詳しいデータが市のHP上にはなく、なかなか見つからない。

 しかしどうも1日10万tほどの下水を処理した水を坪井川に放流しているようだ。

 CODやPODといった一般的な基準値はクリアしているようだが、セミコンテクノパークのような工業団地から出る排水に含まれていそうな化学物質が除去できているのかどうか、その辺りは定かではない。

 

 「下水を処理したあとの水って綺麗なんじゃないの?」

 そう言う人も多いだろう。だが、違う。

 下水は完全には綺麗にはならない。

 処理水は、薄く黄色に色づいており、そして臭い。

 

 

 坪井川の変化によって、周辺の環境が激変したことがこれまでに2回ある。

 

 1度目は1977年頃。大きな洪水が続いて、その治水のためという名目で坪井川の大改修工事が行われた。

 それまで牧歌的な里山の川で、子どもが土手を容易く降りて遊べたような川だったのに、川底を掘り、川幅を拡張し、コンクリートブロックで護岸をして、川面まで辿りつくのに7~8mも石段を下りていかなければならなくなった。

 この工事の完了後、まず、八景水谷公園で蛍が飛ばなくなった。それまで初夏には群舞していた蛍が、わずか数年のうちに数えられるほどに減り、そして姿を見せなくなった。

 湧き水も涸れた。ポンプで地下水をくみ上げなくてはならなくなった。

 公園内の池には、美しい緑の藻や水草が群生していたが、これもなくなった。こういった藻の中に、網を差し込んでグルグル回すと、新鮮な白魚のように透き通っていて、ピンピンと元気に跳ねる川エビが、面白いように大量に採れたものだったが、こうした綺麗な生き物もいなくなった。

 水量が減った結果、川や池には土が滞留しがちのようだ。

 川底の藻や苔の上に土埃のようなものが滞留し、川底は一面茶色っぽくなってしまうのだ。

 

 八景水谷公園愛護会の老人たちは、蛍を復活させようと、何百匹もの幼虫を放流したり、環境を整えたりしているが、蛍は復活しない。

 東京の椿山荘で飛ぶ蛍が、熊本の八景水谷では飛ばないのだ。

 いったいどうなっているのだろう?

 

 ちなみに、坪井川は熊本城下を巡って最終的には有明海にたどり着く。

 昨今話題になった有明海のアサリが減り始めたのも、この坪井川の大改修工事が終わった頃からだ。なにか関係があるのではと考えずにはいられない。

 

 2度目は、1989年(平成元年)。八景水谷公園から800mほど上流に、下水処理施設ができた時だ。なぜ、湧水の里の上流に下水処理施設を作るのだろうか。

 

 この熊本北部浄化センターは、平成12年(2000年)頃には1日9500tほどの処理水を坪井川に放出していた。が、3年前は1日6万5000t以上を放出していた。

 現在は10万tほどにもなっているはずだ。

 坪井川の川面には大量の泡が浮かび、その泡は下流域まで消えることはない。

 これは、下水を処理する過程で微生物に汚物を食べさせるが、その時に発生する糖由来のものだという。

 (近年、熊本城の掘に入る前に、この泡の消化装置が取り付けられたという。)

 地元の研究者によれば、この泡は処理水の放出が1日3万4000tを超えた頃から現れたという。

 坪井川の自然浄化能力の限界を超えているのではと懸念される。

瑞巌寺跡 北区貢町1421

 瑞巌寺は江戸時代(1673年)、光朝という僧が興した天台宗比叡山の末寺である。

 現在は廃れており、往時をしのばせるのは、歳月を経てすり減った石段と地蔵堂、住職たちの墓である。

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瑞巌寺

 境内の奥は巨大な屏風のように切り立った岩崖になっており、岩肌に神体が穿たれた『阿蘇宮』や修行場の『端座堂』がある。

 

 湧水はこの崖の麓から染み出ており、配管されたパイプに流れて園内をめぐり、下の西浦川に落ちる。水量は、往時より減っているようだが、一応は清らかに流れている。飲める感じではないが。

 湧水というよりは、山に降った雨水が山肌から染み出ている感じ。山の水だ。

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水源

 

 西浦川には“ホタルの飛ぶ川”と看板があり、実際に飛びそうな雰囲気はある。5月下旬になったら、また来てみることにしよう。

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ホタルの看板

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西浦川(井芹川)

 場所は、フードパルから西浦荒神の道に入り、荒神様の前を通り過ぎて数分、右の脇道に入る。

 瑞巌寺跡への道は、くの字型に曲がっており、見落とし易いので注意。村の雑貨店という雰囲気の店があり、軒先に郵便の看板が下がっているのが目印だ。

左手には整備された公園がある。わかりにくい場所にあるためか、人影はほとんどない。花見には穴場だ。