熊本の水の話

坪井川周辺ほか、熊本の水源を散歩します

熊本の水源を歩く

次々と干上がっていく水源地。その変遷を歩きます

TKU「未来へつなぐ 熊本の水 ~A Bridge to the Future~」

 3月21日春分の日

 来月行われる水サミットを意識したものか、TKUで「未来へつなぐ 熊本の水 ~A Bridge to the Future~」という番組が放送された。

 番組趣旨は、「みんなで大事な地下水を守ろう!」で、そこに全く異論はないのだが、熊本行政が出す情報にはアバウトなものが多すぎてうんざりする。

 例えば、番組表には、

「“蛇口をひねればミネラルウォーター”と称えられる熊本の水」

と、大仰な煽り文句が書かれているのだが、熊本の地下水に不安を感じ始めた身としては、

「そりゃいつの時代に、誰から称えられたのか、主語その他をはっきりさせろい!」

とツッコミを入れたくなる。

 今でもそうなのか、50年前にそう言われていたという話なのか、では大違いだ。

 

 番組の冒頭、水道水と市販のミネラル水を比較して、「熊本の水はミネラルがこんなに豊富です!」とチャートが掲げられる。

 実際、我が家では水道水でフライパンを洗ったあと、火にかけると真っ白に水の跡が残っていた。

 私は熊本から京都に出て、また熊本に戻ったUターン組なのだが、久方ぶりに戻ってこの光景を見た時は、びっくりして水道局に連絡した。

 なぜなら、私が以前に熊本にいた時には「そんなことはなかった」からである。

 水道局からやってきた担当者は話を聞くと、「ああ、熊本の水は阿蘇の地下水ですから。シリカが豊富だからなんですよ~、安全、安全」と笑って帰ってしまった。

 

 番組では、熊本の地下水が豊富な理由について、阿蘇の火山灰や砂礫層が、水が浸透しやすい地層だからと紹介していた。が、逆に言えば、地表の水が十分に濾過されないうちに地下水に到達してしまうとも考えられる。実際、5年~20年ほどの水だという。

 熊本の水源井戸は、かつては地表まで自噴するほどに水が豊富だった土地柄ゆえか、せいぜい数十メートルの深さでしかない。数百メートル地下から何百年も前の水を汲み上げているわけではないのである。安心・安全な地下水と胸を張るには、もっと細心な水の管理が必要ではないのか。

 

 水の話をする時に難しいのは、水は流れていくもので、日々様子が変わることである。

 我が家の水道の水ですら、真っ白に水跡が残る日もあれば、気になるほどでもない時もある。「今日は案外いい水だな」という日もあれば、「なんだか今日はベタベタして変だ」という日もある。

 そのため、確定的なことを言うことが難しい。昨日は様子がおかしかったが、今日は常態に戻っていました、ということもよくあるのだ。

 これは地下水ばかりでなく、河川や池も同じことだ。

 

 また、先月当ブログでも訪れた、島崎の水源地も紹介されていた。

water-kumamoto.hatenadiary.com

 紹介されていたのは小山田の井川だったが、井川もかつてはもっと水が豊富に湧いていたという。今、流れる水はわずかだ。

 

 テレビでは、水守さんたちが懸命に井川を清掃する様子を映し、「水を守らなければ」、という言葉だけがクローズアップされていたが、水守さんたちの真意は、「水をもとに戻してほしい」ということではないだろうか。

 

tv.yahoo.co.jp

 

 ↑番組への感想は皆無。